ここ数週間の間にいろいろなことがあった。



 例えば……



 ―織姫のマンションに相撲取りが鉄砲……(なんだっけ?)

  まぁとにかく穴が開いたり



 ―あのチャドが大怪我したり、最近変なことが多すぎる。



 ―これは何かの前触れなのか……?









 ACT4:違和感










 ○月×日△曜日。



 今日は寝坊することなく学校へと行った。

 するとみんなに素で驚かれた。



 ―…ちょっと傷ついた。



            1年3組  



 そんなことに落ち込みながら、は今日も物思いにふけっていた。



 机から顔を上げ教室の後ろを振り向けば、

 啓吾や水色たちがチャドのインコに話しかけている。



 しかし、はあることに気付いた。



 「…いなくなってる。」



 そう、あのインコについていたシバタという子どもの霊。



 ―一護が除霊でもしたのだろうか?



 それも大いに有り得る話だ。



 …は一護に霊感があることを知っている。



 『見える』ということが彼の日常であるということもだ。



 が、に霊感があることを一護は知らない。



 昔、幼い頃に何度か『私も見える』と言おうとしたことはあったが、

 『言ってはいけない』という強制的な何かがそれを邪魔した。



 それがまるでにとっての禁句(タブー)であるかのように。



 ―本当になんたんだろうか……?



 いつの間にか眉間に皺が寄っていたことに気付き、は額を軽く押さえた。






 ―と、朽木さんが遅刻して教室に入ってきた。



 一護たちにおはようと挨拶をかわすと一護に声をかけ、

 半強制的に教室から連れ出した(引きずり出した?)。



 ―……殴ったよね?今、殴ったよね絶対。



 そう思ったのはだけではないことは確かだった。






 一護と朽木さんが教室を去ったあと、丁度授業の始まりを告げるチャイムが鳴り、

 結局二人は戻って来なかった。



 ―…なんだか、いろんな意味で怪しいくなってきたな……



 は一人、呟くように言った。































 授業が終わり、真っ先に立ち上がったのはいつも元気な織姫だった。



 先程は4限目、

 ……つまり今はお昼だ。



 嬉しそうにはしゃぐ織姫をたつきがなだめ、その横ではが苦笑を漏らす。



 ―それが彼女たちの日常なのだ。



 3人は先に席に着くと早速昼食に取り掛かった。



 たつきとはいたって普通のお弁当だが、

 織姫は食パン1斤にあんこを挟んで丸かじりするというなんとも特徴的な昼ご飯だ。



 しかし見た目の通り量も結構あるため、そう簡単に侮ってはいけない。

 そんなところに千鶴が(織姫目当てに)やってきた。



 「ヒーメっ!一緒にお弁当食―べよっ!」


 「うん!いいよ!」



 ほっぺに食べカスをつけたまま返事を返す織姫に千鶴は抱き付く。



 「かっ……かわいい!常人にはマネのできないかわいさ!!

  さっすがあたしのホレた女!!」



 顔を赤らめながらそう言う千鶴は絶対おかしい。



 「た・べ・ちゃ・い・た・い・v」


 「……」


 「コラぁ千鶴!!やめんか昼間ッから!!」



 ―夜ならいいのか?



 そんな突っ込みはあえてしないが、二人の口論は続く。



 「あんた美人だけど性格が男っぽスギるからキョーミないのよね、あたし。」


 「誰も織姫の代わりにあたしにキョーミ持てなんて言っとらんわ!!」



 怒るたつきに千鶴は視線を変えた。



 「……その点は容姿はもちろん、性格も合わせて申し分ないし、

  男子制服っていうのが逆に心をくすぐられて……!、今度私と……!!」



 よだれを垂らしながら言う姿はもう、襲う一歩手前と言った感じ。



 「ち……千鶴?」



 それにたつきが後ずさる。



 「……そうだね、また今度ね?」



 にこにことした口調のままは返事を返す。



 「つ、!?」



 たつきが驚いた表情でを振り返り、千鶴は不満そうな声を上げた。

 たつきは後ろにを隠しながら、千鶴を威嚇した。



 「……ほら千鶴、織姫が見てるしね?」



 のその言葉に、織姫に視線を移せば……



 「ちゃんも食べてみる?織姫特製アンパン!」



 …少々ずれてはいるが、織姫のおかげで話がそれた。



 それにたつきはホッと安堵の息をつく。と……



 「織姫特製アンパン。しかしパンもアンコも市販ひっ…もごっ!!」



 そう呟きかけたの口をたつきが塞ぐ。



 「こら、そこはあえて突っ込むなっつーの!」



 もごもごと何かを言うに織姫もキョトンとした顔をする。



 「たつきちゃん?ちゃん?」


 「あ―!!織姫なんでもないからね!」



 適当にごまかしつつもの口から手を放さない。



 「ん―!ふももっ!!ぐっ―」



 何を言っているかは不明。

 は完全に遊んでいるようにしか見えない。すると……



 ―ガタン!




 と急に織姫が立ち上がり窓に体ごと乗り出そうとした。



 そこでようやくたつきが手を放し、織姫にかけよった。



 「コラコラ何やってるの織姫!パンツ見えるでしょうが。」


 「黒崎君の匂いがする。」



 『?』



 ―ちなみにここは3階、匂いとは一体どういうことだろうか?



 「犬じゃあるまいし!匂いがしたって一護がここから入ってくるわけ……」



 うんうん、とうなずく一同を余所に織姫はそこから離れない。

 しかし、その言葉は間違っていなかった。



 ―窓枠に足をかけた一護が一瞬にして現れた。



 ―間違いなく下から。



 だけではない、たつきや織姫も目撃したのだから。



 『ギャァ―――!!!!』



 数名が叫び声をあげるが、はあまりの驚きにその場に固まってしまった。



 ―あの一護が……運動神経がいいとはいえ、

  3階を跳躍のみで跳んで来れるのか……?



 いや、常識的には無理だ。



 できたらオリンピックのハイジャンプ世界記録更新か?



 ……っていうかその前に、一護ってこんなに目立ちたがり屋だったっけ?



 が頭の中で混乱している間に、いつの間にやら一護(仮)が織姫を口説いて?いた。



 それにたつきが怒り、そちらに注意が向いた一護(仮)はあろうことか……



 たつきの頬にキスをした。



 当然如くブチ切れたたつきは、

 机を投げ付け般若のような表情でクラスメイト全員を一歩引かせた。



 ―どうすべきだろうか。



 一護を捕まえるべきか、たつきを抑えるべきか……。



 と、後ろの戸から勢いよく朽木さんが入ってきた。



 「そこまでだ!!」



 あの物静かそうな雰囲気からは想像もつかないほどの怒気を含んだ口調に、

 またクラスは一歩引いた。



 そして焦ったように一護(仮)が窓際へと走る。



 「行ったぞ一護!!」


 「おう!」



 その掛け声に対しは耳を疑い、先にある窓に目を見張った。



 ―あれは、一護……!?



 そう、黒い装束を身に付けた、夢に見た姿だ。



 「夢じゃなかった……?」



 今見たことが信じられず、はそこから目が放せずにいた。



 みんなに見えていないということは、つまり霊体ということだが、

 一護(仮)は簡単にすり抜け窓から逃走し、

 台風が過ぎ去った後のようなクラスは微妙な空気に包まれいた。



 そんな中、たつきの怒りはおさまらないらしく、

 未だに般若の形相で辺りには机が散乱している。



 後から教室に入って来た啓吾や先生もあきらかに怯えており、

 クラスメイトのほとんどがに助けを求める視線を送ってきていた。



 「―あれは誰?まさか一護の中に別の……」



 理解できない事態には混乱する。



 本来なら率先してたつきを止めに入るのだが、そのことすら頭の外に吹き飛んでいた。



 しかも、今、自分の目はどこか焦点が合っていない。



 同じくあれが一護ではないと気付いた織姫は

 『あれは黒崎くんじゃなかったよ…』

 と周囲に聞こえるように呟いた。



 それにたつきが我を取り戻し聞き返そうとするが、

 振り返った織姫が、その異変にいち早く気付いた。



 「ちゃん?」



 織姫が声をかけるが返事はない。



 「?」



 たつきも心配そうに顔をのぞきこんだ。



 すると―ガクンと、まるで糸の切れた人形のように倒れ込み、

 たつきの肩にもたれかかった。



 「―っちょっ……!?」



 驚いたたつきがずれ落ちそうになるを支えて呼び掛けた。



 しかし反応はなく、規則的な呼吸音だけが微かに聞こえた。



 ―あと少し……






 ―『我目覚メ近シ』















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