ACT3:目隠しの闇








  朝、目が覚めるとそこはベットの上だった。



 ―あれは……夢?



 そう思うのが一番いいかもしれない。



 ……けれど、窓の外を見れば



 『黒崎家にあいた大きな穴』



 それが真っ先に目に飛び込んできた。



 ―そう、夢ではないのかもしれない。



 まだ少し眠っていた意識を一気に覚醒させ、

 は急いで学校へ行く準備をした。




















 ―制服を着て訪れたのは、もちろん黒崎家。



 大きな穴の前に立ちながらはゆっくりと息を飲んだ。



 昨日の光景がフラッシュバックし、

 必死に攻撃を仕掛ける一護の姿が頭を過ぎった。



 ―…一護たちは、大丈夫だろうか……?



 と、いつの間にか正面には、この大穴の簡易処置をしにきたらしい、

 黒崎家の大黒柱である黒崎一心の姿があった。



 「よぉっ!今日もまた遅刻か!?」



 ガハハハと盛大に笑う彼にも呆気に取られた。



 「……い、一心さん、この穴はどしたんデス?」



 まさか化け物に開けられたんですか?とは聞けない。

 少々話し方がおかしくなりつつもその理由を聞けば……



 「トラックが突込んできたらしくてな!

  だぁ―れも起きやしなくて犯人には逃げられたんだが……

  ま、誰も怪我はしてないしな。それだけでも儲けもんだ!」



 確かに、家はある程度直すことができるが、人はそうもいかない。



 一心のその言葉にも何も言えなくなってしまった。



 ……自分の見た夢では確実に、一護・ユズの二人が怪我をしているはず。



 ―やっぱり夢かな……?



 確かにアレは、現実としては認めるにはかなり受け入れ難いモノがある。

 いくら常日頃『幽霊』という、

 他人からすれば非現実的なものを見ていたとしても、だ。



 また、睡眠妨害となる要素がひとつ増えたことに軽く頭痛を覚えるが、ともかく。

 黒崎家の人々に何事もなくてよかった、と安堵の息をもらした。



 するとそこに、まだ学校に行っていなかったらしい、

 黒崎家の末娘・遊子が、一心を呼びに現れた。



 「お父さ〜ん!これって……」



 そう言いかけて、一心と話していたとばっちり目が合った。



 「ちゃんだ!!おはよーっ!」



 パタパタとこちらにかけよって来て、遊子は満面の笑みを浮かべた。



 「おはよう遊子。昨夜は大変だったみたいだね

  ……体は本当になんともない?」



 昨日のことがどうしても頭から離れないは、

 確かめるように遊子に聞いた。



 「うん!全然平気!!お片付けが終わったら学校にもちゃんと行くよ。」



 心配してくれてありがとう!と遊子はまた笑った。

 と、今度は夏梨が現れ、を見た。



 「……おはよ、姉。今日も寝坊?」


 「おはよう夏梨、うんまぁ…そういうことになるのかなぁ。一護は?」



 痛いところを突かれては話を逸らした。



 「今お父さんが起こしに……」


 『ギャー!!』


 ―パリ―ン……


 「……行ったようだね。」



 いつの間にやら簡易修理を終えて家の中に入り、その足で一護を起こしに行ったらしい一心。

 それと珍しくよりも遅く寝坊した一護の姿がしばらくして現れた。



 「やぁ、こんにちわ一護。」



 この間水色に言われた言葉を思い出しはそのまま言った。



 「あぁはよ…って!?なんでココに、

  っていうか『こんにちわ』ってなんだいきなり!?変なものでも食ったか!?」


 「あ、そういう反応ですか。はいはい。朝からテンション高いなぁ……。

  だって、朝起きて前を通れば大きな穴が。

  驚いて突っ立ってるところに、一心さんがタイミングよくきて……」


 「はいはい。さっきの言動は気まぐれかよ。で、結局今日も寝坊したわけだな?」



 話を中断され、また痛いところを突かれた。



 「う゛……一護に言われたくはありません。

  ミカンの皮を被った苺味のくせに」


 「あぁ!?意味わかんねぇよ!!第一俺は……」


 「ちゃんもごはん食べて行くでしょ?」



 と、そこに遊子が割り込んだ。



 「遊子は優しいね。」


 「っておい!シカトかよ!!」



 一護との会話も、黒崎家の法律・遊子によって終わりを告げ、

 少々遅い朝食を一緒に迎えることとなった。



















 ―そして学校



 と一護はそろって教室へと入った。



 と、織姫とたつきが丁度一護の話しをしていたらしく、

 水色も加わって何やら今日の出来事について語っているようだった。



 「じゃあ何?あいつケガしたの!?それとも死ん……」


 「でねぇよ!」


 「黒崎くん!」


 「ウチの連中は全員無傷だ。残念だったな」


 「……うむ、そういうことで。おはよう皆の衆」



 一護の鋭いツッコミに始まり、最後は勝手にまとめてみた。  シュタッと軽く手を上げて、何となく政治家気分で挨拶したのはもちろんだった。



 「あれ、一護と一緒に来たの?」


 「うん、ついでに黒崎家の朝ご飯をいただきました。」


 「一護は家の修理手伝ってたの?」


 「まぁな、3限は?」


 「嘘つけ一護、本当の理由は寝坊だろ。自分だけ逃げるなんて卑怯だー!」



 すかさず突込む

 それに一護も今朝の続きか?と反論しようとするが……



 「貴様……あなたが黒崎くん?」



 よそよそしい感じの声にも意識が逸れる。



 ―誰だろう?



 「よろしく!」


 「あ、彼女は今日から来た転入生の朽木さん。

  こんな半端な時期だけど家族の事情で……」



 水色がそう紹介してくれている中、

 一護はとても驚いたような表情で口をパクパクさせていた。



 ―金魚…じゃなかった。顔見知りなのかな?



 そう思いつつも、見た目美少女の彼女は、どこかこう…

 一癖も二癖もありそうな感じの子だな、とは直感的に感じていた。



 それは悪い意味のモノではなく、もっと本質的なところの話である。



 どこかで見たことがあるような気もするが、

 思い当たる節もないのでとりあえず、よろしく!

 と、隣りにいる一護を押し退けて挨拶をした。



 「はじめまして朽木さん、 っていいます!」


 「えぇっと、君?」



 その言葉に、周りにいたクラスメイトは皆……



 『プッ……!!』と口を押さえて笑った。



 「私、何かおかしなこと言いましたか?」



 朽木さんが困惑した表情を浮かべ、それに周りも『違う違う』と慌てて訂正をする。



 「そういうんじゃなくてね、

  は学ランを着てるけど列記とした女だから。」



 「……え?」



 マジマジと見られても少々照れる。

 確かに見た目は、学ランを着ていると美少年この上ない。



 元々が中性的な容姿・性格もあって、身内以外は勘違いしたままのモノも多かった。



 ……しかし、彼女の表情は見惚れる、

 というよりも驚きの方が大きかったらしく、目を見開き固まっていた。



 が、一瞬だけその表情が強張ったように見えた。



 「……朽木さん、どうかした?」



 心配になりが声をかけると、彼女はハッとして苦笑気味の表情に変わった。



 ―気のせい……?



 「いえ、あまりにも知り合いの方に似ていたものですから……

  つい見入ってしまいましたの。

  気分を害されたようでしたらごめんなさい。」



 逆に申し訳なさそうに謝られても少々焦る。



 「あ、いや全然。そんなに気使わなくてもいいよ!ホント気になっただけだから……」


 「そうですか……」



 どこかホッと安堵した感じの彼女に

 、は何故かまた奇妙な違和感を覚えた。



 と、先程まで固まっていた一護がようやく覚醒し、

 朽木さんをどこかへと連れて行ってしまった。



 顔見知りのようだったから、そんな怪しいことではなさそうだが、

 何せ連れ出したのは自分のクラスから。



 変な噂が立ちそうな予感……というか確信がにはあった。



 ―妙な違和感……



 ―転入生のコトバ






 それは何を示す?













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