ACT23:乱入!突撃!





―更木剣八の応急処置を済ませたあと…



彼は救護所へとは来ず、やちるがそのまま背負って十一番隊の宿舎へと帰って行った。

重症であったものの、その霊圧の高さもあってか、それ以上の治療は必要としないらしい。

卯ノ花も引き止めはしたが、彼らの意思を尊重する意向のようで、強行手段には出なかった。



―つまり、直接命に別状はなかったということなのだろう。



は小さく安堵の息を吐いた。





























そして四番隊の救護詰所では…



十三番隊の三席二名が、旅禍の人質となっていた山田花太郎を連れて来ていた。



卯ノ花がその話しを聞いており、を含めた他の隊員たちは

部屋の外でその話が終わるのを今か今かと待っていた。



「大丈夫だろうか…」


「旅禍の人質になってたんでしょう?」



ザワザワと、誰もが落ち着かない様子だ。





―あれは更木剣八の治療中のこと…。



朽木白夜並びに一護、夜一の霊圧を感じた。



…そして、十三番隊隊長・浮竹十四郎のものも。



―ルキアを助けたい気持ちは、きっと彼も……同じなのだ。



処分についてはきっとすぐには下されないだろう、と、は一人その場を離れた。














「―お疲れ様です。」



そう言ってが訪れたのは、同じく四番隊・総合救護詰所の中にある……



―地下救護牢



現在人手が足りないため、旅禍の霊圧を封じ、警護は手薄となっている。


他の隊の人間なら怪しまれるところだが、は四番隊隊員。

交友関係も広いため、看守たちとも当然顔見知り。

なので、多少なりとも融通のきく場所の一つであったのだ。



―牢の番号は○七五番。



牢屋番に少し席を外してもらい、鉄格子越しにだがその顔を見ることができた。



「やっほー!みんな生きてる?」



どうやら何か話をしていたようだ。

中に居た3名が、驚いたように振り向いた。



―捕まったのは、石田君とチャド、岩鷲君か…。



皆怪我をしているようだが、ある程度の治療が施されている。逃げるには十分な程だ。



「―誰だテメェ!?」



まっ先にそう叫んだのは岩鷲。



「え!?ヒドッ!もう忘れられてたり…?」



は精神的に20のダメージを食らった。



「え?…もしかしてそのしゃべり方……さん?」



石田が目を見開いてを見た。



「……?」


「あー良かった…覚えててくれてたんだね。」


「あ、いや、うん。忘れてたわけじゃなくて、その、髪の色が違うから…」



見た目が変わったせいか、その印象の違いに戸惑っているようだ。



「あ、これ?そういえば外すの忘れてたなー…。ただのウィッグだから気にしないで。」



髪を摘みながらヘラリとは笑った。



「ところで何でさんがこんなところに…?」



石田が不思議そうに尋ねた。



「ん?あれ、みんな此処がどこだか知らなかったり…?」



すると3人が同時に頷いた。



「あはは…えぇっとここは四番隊・総合救護詰所の地下救護牢だよ。」


「四番隊というと確か…」


の、ところだな。」



「正解っ!」



がビシッと指を一本立てた。



「ってことはオレらを逃がし…「ストップ!」」



は岩鷲が言い終わる前に制止の声をかけた。



「なんだよ、急に!」


「それを実行するにはまだ早いんだよ。まだ…」


「それは、どういう…?」



「ムッ…わかった。」


「えっ茶渡君!?」



一人納得するチャドに石田、岩鷲が驚く。



「フフッ…一護、だよ。」


「一護、だと?」



「うん。織姫の所在はまだはっきりしてないんだけど、

 一護は今、夜一さんとルキア救出に向けて特訓の真っ最中。」



「特訓…」


「そっ!だからまだ機は熟していない、っていうことだよ。」


「そうか……」


「まぁその時までのんびりしててよ。また来るね。」



―長居はさすがに怪しまれる。



用事は済んだとばかりに、は次の行動を起こした。







―そして同日、六番隊の牢で。



阿散井恋次が脱走した事実を、は後に知ることとなる。



























―翌日



「…うーん」



織姫を探そうと霊圧を探るが、なかなか上手くいかない。



「なんか大きい霊圧が邪魔してるというか…」



これは意図的に隠しているとしか思えない。


織姫は霊圧のコントロールが上手だ。


そのため、このような大きなモノの近くで本気で隠れようと思えば、

そう簡単には見つからないだろう。



―旅禍の霊圧とはいっても、存在は複数でその数は不明。



旅禍っぽい霊圧だけを頼りに捜索しているので、実を言うとこちらは不利なのだ。



「戦うだけが道じゃぁないしね。」



忘れがちだが、上手く逃げることもまた兵法の一つだ。



「…なんだけどさ。」



が今現在たっているのは、織姫が居ると思われる場所の近く。

何を隠そう、十一番隊の宿舎前だ。



「うわぁ…いろんな意味で最悪だ。」



十一番隊は四番隊を嫌っている者が多い。

そのため四番隊のがあっさり通して貰えるかというと、そう上手くはいかないのだ。



「まいったなぁ…」



―捕まっているのか、はたまた保護されているのか。



捕まっている場合、下手な行動はできない。しかし保護されている場合…



「…どーうしよっか。」



―事情を話すべきか?



は迷う。



「あーっ!昨日の!!」


「……えっ?あ、草鹿副隊長!」



そう、昨日会ったばかりの、まぁが失礼しまくった相手だ。



―いろんな意味でピンチ!



「ふ、副隊長!知り合いで?」


「こいつ四番隊ですよ?」



その背後に控えていた十一番隊の隊員たちは口々にそう言った。

と、やちるが纏う雰囲気が驚くほど一瞬にして変わった。



「―だから何?この子、剣ちゃんの怪我治してくれたんだよ?手出したら許さないから―」


「たっ隊長の!?」


「ひぃぃぃっ!!」


「しっ失礼しましたっ!!」



我先にと頭を下げると、全力でどこかへと走り去ってしまった。



「はやっ……!」



一人、呆気に取られていると、やちるが笑顔で飛びついてきた。



「ねっ!昨日、名前聞くの忘れてたから教えて!」



そんなことをまるで気にすることもなく、至極楽しそうにの袖を引っ張った。



「あ…はい、申し遅れました。四番隊・第十四救護班所属、です。」


「うん、わかった。じゃぁこっち!」



ガシリと手を掴まれ、物凄い勢いで引っ張られた。


バランスを崩し、危うく転びそうになるものの、何とか持ち直して付いて行く。



「うわっ!ちょっ!」



角を曲がる度に転びそうになるのを、は必死に耐えた。

身体が小さい分、小回りのきくやちるについて行くのは並のことではない。



後に彼女が語るところによると……

それは彼女、いやにとって、下手な絶叫アトラクションよりスリリングな体験であった。と。




























―しばらくして



ようやくやちるが立ち止まった。


ちなみにはすでにボロボロ。


未だにの腕を、力強く引っ張るやちるの手を振り払う気力など、当に失せていた。



「―剣ちゃーん!!」



―剣ちゃん…。



前は切羽詰まっていたのであまり気にならなかったが…。

あの強面の顔で“ちゃん”呼びは無いだろうに。と、は顔を引きつらせた。



「あぁ?何だやちる」


「剣ちゃんを助けてくれた子がいたから連れて来た!」



ニコニコと満面の笑みを浮かべ、剣ちゃん…ではなく十一番隊隊長・更木剣八に飛び付いた。



「こいつがか?」



ジロジロと見られるは、愛想笑いを浮かべた。



―何がどうなってこの場所まで連れてこられることになったたのか……。



軽く眩暈を感じないわけでもない。



「改めまして、お初にお目にかかります更木隊長。

 四番隊・第十四救護班所属、と申し「ちゃん!?」」



―…はいぃ?



ギギギギッ…という機械音が聞こえそうなほど違和感たっぷりに、が斜め後方を振り返った。



「あ……!!」



慌てて口を抑える織姫は、自分の失言に気付いたようだ。



「織姫ちゃん、知り合いなのか?」



十一番隊第三席、斑目一角が織姫に問う。



「えっと、その…!」



焦る織姫に、は深く溜息をついた。



「あーはい、そうです。そちらの超可愛子ちゃんこと井上織姫とは大の親友でありますが何か?」



とりあえず、と、その場凌ぎの理由を考えてみようとはした。

が、そんな気力は先ほどすべて消費してきたため、すでには自棄になっていた。


なので、最もストレートに開き直ってみた。



―現状として、十一番隊は上位席官がほとんど手負い。



セコイようだが、今の彼らなら、の力を持ってすれば騒ぎを大きくすることなく、

容易に倒すことができるだろう。



―敵か、味方か…



それはすべて相手の出方次第。







―これは、一つの賭け

















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