ACT11:HERO
「さて、どうしようか…」
一護が取り押さえられている様子を傍観しながら、は木の上で考えこむ。
―騒動を収集するのなら死神化させるのが妥当なんだけど…。
と、そこに朽木ルキアが現れ、近寄ろうとするも、
あっという間に一護のように取り押さえられた。
「一護の類友デスカ……」
一瞬の期待もあっという間に消え、はガクリと肩を落とした。
『ぎゃぁああぁぁあー!!!!』
「早くしないと間に合わない……」
―仕方ない。と、
今度こそが飛び下りようとすると、そこにようやく救いの手が差し延べられた。
「……喜助」
杖で一護を死神化させ、地縛霊の元に向かわせた。
「間に合うか……?」
様子を見守っている中、視界の端で小規模の爆発音がした。
視線をずらせば喜助とルキアそして浦原商店の3人が全力で逃走を謀っていた。
「記憶置換装置の爆発音かい!って……。本来ツッコミじゃないんだけどなぁ」
―尸魂界の道具をそんなにあっさり使って良いものなのか。
痛くなる頭を押さえつつ、一護に視点を変えようとすると
『ドオンッ!!』というさらに大きな爆発音がした。
「ーっ……!!間に合わなかった!」
地縛霊はすでにいない。
けれど浮遊霊とは違い地縛霊はその場所に縛られているモノ。
―だから再構築されるのは……
「上だ一護!!上を見ろ!!」
ルキアが大声で叫んだ。
「……虚」
が小さく呟き目を細めた。
一護が斬魄刀を抜き虚へと切りかかっていくが、明らかに観音寺が邪魔をしていた。
「思った通り一護がなんとかしようとしてるけど……」
―確かにその正義感は認めてる。でも……
「―この状況、良く、ないね……」
この人が集まっているこの場所は特に。
「どうする一護?」
と、一護が動いた。
虚が壁に追突しハマっているうちに、観音寺の首根っこを掴んで建物内へと逃げ込んだ。
「一護らしいね。」
中の様子はわからないものの、相手は前回のグランドフィッシャーに比べれば蟻並の雑魚だ。
いくら観音寺が足を引っ張ろうと死にはしないだろうと決め込み、は大きく伸びをした。
「この態勢もそろそろ疲れたなぁ……」
と、下が妙に騒がしい。
何かと思い見下ろせば、ルキアが警備員から逃げ回っているではないか。
「あぁ、さっきので。」
『上を見ろ!』と叫んだのは彼女だ。
見つかって当然といえば当然である。
「……無視することもできるんだけど。」
それが出来ないのが自分だ。
―あの声に一護が助けられた所は大きいしね。
「……しょうがない」
は木から飛び下りると、逃げているルキアを呼んだ。
「朽木さんこっち!」
「きっ貴様は!?」
「いいから早く!!」
動揺するルキアを尻目に、は彼女を木に登らせると木の根元に立った。
「一体何を……!?」
「静かに!」
するとそこに警備員たちが現れた。
「そこの君!小柄な黒髪の女を見なかったか!?」
銀髪の目立つに声を掛けて来た。
「さぁ?見てませんけど……あ!」
突然声を上げたことに警備員は驚いたようだ。
「どうした!?」
「今あっちの陰に、それらしい人が走り去っていきましたよ!」
「助かった!」
人混みの中を指さし教えると、警備員は全員そちらへと走り去って行った。
「……これでよし。と」
はまた木に登ると、ルキアより少し下の枝に座った。
「朽木さんもう大丈夫だよ。」
ニカッと笑いルキアを見た。
「えぇっと、その、ありがとう……さん?」
自信無さ気に言われは苦笑した。
「同じ歳なんだし『』でいいよ!あと話し方も一護と同じ話しやすい感じでね?
一護と仲いいみたいだし、一護の友達は私も友達〜ってことで。」
その言葉にルキアは目を点にした。
「ん?あれっ……何か変なこと言った?」
今度はが顔をキョトンとさせた。
「い、いえ…そんなこと言われたのは初めてで……」
「一護にはよく『ジャ○○ンかお前は』ってツッコまれるけどネ。
まぁそういうことで『ルキア』って呼んでもいい?」
それにルキアはまた少し驚いたような表情をするが、頷きそれを了承してくれた。
「えぇ、別に構いませんが……」
「『構いませんが…』?」
その言葉あとに少々沈黙が流れた。
「かっ構わぬ……」
フイッと逸らされた顔にはニヤリと笑った。
「フッフッフッ……これで一護をあとで驚かしてやる。」
一護をからかうことに生きがいを見出だしつつある、15歳であった。
しばらくしてようやく事態は収拾された。
ルキアとも別れ、黒崎家のメンバーと合流し帰路に着く。
家の前では別れ、一人静かな夜道を歩いていた。
街灯の明りが点々と並ぶその道をただひたすら順番にくぐって行く。
黒崎家からのアパートの部屋までは、さほど距離はないのだが、
今だけは何故かとても長く感じられた。
ふと、脳裏に誰かの陰が過ぎった。
―『』
その人物が自分をそう呼ぶ声が…聞こえた気がした。
―翌日の学校
「まったくもって信じ難し!!自分たちが何をしたかわかってるのかおまえら!?」
―現在校長室にて。
を含めた生徒8人は説教を受けていた。
……原因は例の『ぶら霊』の騒動について。
主犯の一護を筆頭に、共犯のルキア、一護を助けようとしたチャド、
その巻き添えを喰った啓吾。
そのほか、最初に一緒にいただけの理由で呼ばれた水色、たつき、織姫、
そしての計8名である。
がルキアを匿ったのは二人だけの秘密ではある。
が、もしそれを踏まえていたとしても、ここに呼ばれた理由は理不尽過ぎる。
『最初に一緒に居た』からといって、止めなかった責任を問われるのは筋違いである。
たつきと織姫の二人は早々に退室し、残るは6人。
啓吾も続いて退室しようとするが副担の鍵根に却下され、それは失敗に終わった。
「横暴だー!!学校内での教師の立場の是正を訴えたいー!!」
喚く啓吾を尻目に、ルキアがポツリと言った。
「すみません……。
それもこれもすべて私が……黒崎君を止めきれなかったせいなんです…。
あのとき、一番黒崎君の近くにいたのは私…、飛び出していく彼を止めなければと、
柄にもなく声をはり上げたりもしたのですが……。
黒崎君はそんな私の声に耳を貸すことなく……」
そしてほろりと、ハンカチを取り出して泣く素振りを見せた。
それに慌てる鍵根は完璧にルキアに気を取られていた。
その隙に一護たち4名が窓から逃走。
さらに鍵根がそちらを怒鳴り散らしている間に、とルキアもそそくさと逃走した。
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