ACT1:盲目の鳥








  空は雲ひとつ無い快晴。



 眩しいくらいの太陽の光を浴び、少々うんざりもする今日この頃。

 木陰へと避難し、読書に励むとした。



 心地よいそよ風が吹き、髪を撫でる。

 ……ちなみに今は授業の真っ最中だ。

 そう、つまり簡単に言ってしまえばサボり。



 ……というのも、珍しく寝坊したため途中から登校してきたのだが、

 余りの天気のよさに教室には行かずそのまま中庭まで来てしまい、

 現在に至っていた、というわけだ。



 「どっち道4時間目だしね。出ても出なくても変わんないか。」



 そんなサボり断言決定宣言はさて置き。

 寝起きの所為か、どうしても本に集中できず、はゴロリと横になった。



 ―こういうとき男子の制服はイイ。



 なぜなら、足も組んでも寝返りをうってもめくれることはないし、

 プリーツの皺をいちいち気にしなくてもいいからだ。



 は学ランの上着を脱ぐと鞄の方に投げ、頭の後ろで腕を組んだ。



 「昼、どうしようかなぁ……」



 もちろん寝坊したのでお弁当なんか作ってるわけが無い。

 購買で買うにしても、



 ―財布持ってきたっけ?



 といった感じだ。

 そんなこんなで、ぼんやりと考えているうちに、かなりの時間がたっていたらしく、

 4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。



 「……誰かに借りるか。」



 結局堂々巡りの据えにそこに落ち着き、中庭の木陰に後ろ髪を引かれつつも

 自分のクラスへと足を向けた。





















 教室の中に入ると、皆すでに弁当を広げており、

 誰かいないかと見渡してみれば、後ろから声をかけられた。



 「おはよー!!遅刻したかと思えば昼出勤か!?」



 これは、いつもハイテンションの浅野 啓吾しかいない。



 「おはよー……って、今の時間って、もうこんにちわじゃないの?」



 すかさず顔に似合わずタラシの小島 水色のツッコミが入った。



 「ムッ!!友達に『こんにちわ〜オホホホホ。』なんてよそよそしくないかっ!」


 「誰も奥様仕様でやれなんて言ってないけど。」


 「うっ…水色のツッコミが痛いよー……!!」



 微妙に会話がかみ合ってない、二人のコントは一旦区切れた。



 「……啓吾に水色一応おはよー、こんにちわ。挨拶ついでに昼飯代貸してくれない?」



 その台詞に啓吾は呆れ、水色は苦笑する。



 「『ついで』の意味がわかんねぇー!!」


 「どうせ寝坊してお弁当忘れたんでしょ?らしいね。」



 2人に突っ込まれ、も苦笑する。



 と、後ろからゴツッ……という鈍い音がし、

 自分の頭に何かが当たったということが解った。



 「うん?」



 後ろをゆっくりと振り向けば、オレンジ色の頭とアロハシャツが目に入った。



 「随分と遅い登校だな



 そう言っての頭を鷲掴みにしてるのは当然オレンジ頭こと、幼馴染の黒崎 一護で、

 その隣に立っているのが中学からの悪友である茶渡 泰虎。



 身長差からいってまず一護のその手を退かすのは無理だということが

 判明しているため、とりあえず声をかけてみた。



 「酷いな一護ちゃん。登校してきたばかりのクラスメイトに

  いきなり物をぶつける人がありますか。

  しかも頭まで掴んでるし……こんなか弱い女の子をいじめちゃダメでしょ。

  ね、チャドもそう思うだろ?」



 一番近くに居たためチャドに同意を求めてみたものの、

 『ムッ……』と言って固まってしまった。



 「おい、チャドが困ってるだろうが。

  一体どこをどうみたらお前がか弱くなるんだよ!

  自分でもこれっぽっちも思ってないこと言うんじゃねぇよ。

  それとちゃんをつけるな!」



 さらに頭を掴む力を強くされ、も、ゔ……っと顔色を変えた。



 「一護一護ギブギブ、いくら石頭でもこめかみは痛いよ。

  確かに自分でもか弱いなんてこれっぽっちも思っちゃいないケドさ、

  言ってみたかっただけだから勘弁してよー。

  お昼ご飯の時間なくなっちゃうしさ。」



 その言葉に一護も納得したのか、頭からやっと手を離してくれた。

 その光景に啓吾や水色が苦笑しており、チャドはまたムッ……と言った。



 なんだかなぁ……と、はため息をつき一護を見れば、

 『そういえば』と目の前に何かを差し出した。



 「遊子がお前に、だってよ。昨日夜遅くまで起きてたの知ってたみたいだぜ?

  どうせ忘れたんだろうからありがたく受け取れよ。」



 そう言われ、受け取るとそれはチェックの包みに覆われたお弁当箱だった。



 ―つまり、だ。



 先ほど頭にぶつかったのはこれのようだ。

 今一護の手に有るのは、購買で買ったらしいジュースのみ。

 足蹴にされたわけではないからほぼ100%そうなのだろう。



 「……ありがとう。って遊子に言っておいて。

  ちなみに一護にお礼は無し、お弁当を攻撃道具に使っちゃいけません。」


 「はぁ?」


 「さて、織姫たちのところにお邪魔してくるかな!

  じゃぁまたあとでー。」



 その言葉と共には何処かへと走り去っていった。






 ―肩より下の細い銀色の髪が揺れ、日に当りキラキラと輝きを増す。



 ―その青い瞳は……一体なにを写すのか……?



 ―何も知らない、語らない……











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